every new beginning comes from some other beginning's end だなぁ

【北アルプス】槍・穂高縦走登山


富士山と槍ヶ岳は、日本の山を代表する2つのタイプである。一生に一度は富士山に登りたいというのが庶民の願いであるように、いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう。

深田久弥『日本百名山』より


つまり、登山をしない者にとっての憧れは富士山であるが、登山をする者にとっての憧れは槍ヶ岳であるということだ。

槍ヶ岳(3,180m)

俺の場合、登山を始めた当初は、テレビで見た夕日に照らされ赤く染まった穂高岳の迫力に『俺もいつかはここに行くのだ!』と意気込んでいたが、実際に北アルプスに訪れてみると穂高どころかどこも素晴らしい山や景色ばかりで中々に感慨深いものがあった。熱の冷めないうちにブログに記録しておこうと思う。

計画当初はテントを担いでの縦走を予定していたが、よくよく考えるとテント泊装備をぎっしり詰め込んだバックパックで縦走経験が無いうちに北アルプスへ挑戦することは無謀だろうと、安全を考えて全て小屋泊にすることにした。北アルプスは小屋が充実しておりそれぞれが個性的で訪れるだけでも面白い。北海道のように避難小屋と言うものではなく、しっかりと整備されて人が常駐しており、美味しい料理を提供してくれるような小屋だ。各山を繋ぐ登山路の要所要所に設置されているので、何かあっても小屋まで辿り着ければ…と考えると非常に心強い。今回もそれに色々と助けられた。

日程

  • 8/19(土)〜8/24(木)の5泊6日

メンバー

  • 狸パイセン

概要

  1. 新宿で合流(狸パイセンは函館出発のため)
  2. バスタ新宿から高速バスで上高地へ
  3. 登山開始(槍→穂高)
  4. 下山。上高地から高速バスで新宿へ
  5. 新宿一泊
  6. 解散

バスタ新宿から『さわやか信州号』という05:20AMに上高地に着く高速バスが出ており、これの出発が22:25PMだったため自宅の出発は幾分余裕を持ったものであった。

狸パイセンは函館から新幹線で東京入りし、俺は8/19の17:00PM発ANA072で新千歳から羽田へ向かった。ところが使用機材に雷が落ちただかなんだかの理由で整備が入り、結局一時間遅れで出発。羽田には19:30PMに着いて、荷物をピックアップしてからリムジンバス(¥1,230/片道)で新宿西口に向かったが、到着してみたら21:00PMでそんなに余裕が無い。飛行機は遅れも考慮してもっと余裕を持ったチケットを取るべきであったと反省した。

ところで”荷物のピックアップ”と書いたが、全て小屋泊になったので30Lのザックでも余るだろうなんて思っていたら、意外にも荷物が増えてしまい、結局オスプレー・イーサー70を投入することになってしまったのである。しかし山行を終了してみるとやはり必要ないものも多々あったのでこれも反省である。

オスプレー・イーサー70。荷物がたくさん入る且つ担ぎやすいナイスなパック Photo by 狸パイセン

30Lのザックで足りなくなってしまった要因としては、ヘルメットの追加や大量の行動食(最終的に余った…)によるものである。北アルプスはほとんどが岩稜帯なので落石によるリスクを減らすためにもヘルメットは必須なのだ。でも俺は登山用のヘルメットは持っていなかったのでスノーボード用のヘルメットを代用した(bern・macon)。これが重量500g弱でまぁまぁ重い。

南岳小屋側から大キレットへの降下 Photo by 狸パイセン

水は各小屋で¥200/Lで売られているし、沢の水だって北海道と違って飲むことが出来るので水分補給については心配することがない。問題は行動食である(俺の場合)。

今回持って行った行動食(左から柿ピー、ブドウ糖タブレット、カントリーマアム)

ていうか行動食も大した問題ではなかった。北アルプスは小屋が点在しているし、それぞれ美味しい昼飯(ラーメンとかカレーとか)を提供しているからカロリーの摂取には事欠かないのだ。結局持って行った行動食はそれぞれ半分以上余してしまった。

ところでこの持って行った行動食の中でこれは!と思ったのが写真真ん中のウィダーin塩分プラスタブレットでした。身体が疲れてきてシンドイけどもう一踏ん張りしなきゃ…って時にこれを舐めると身体が動き出す!ブドウ糖とかクエン酸とか塩分が含まれてるから夏の登山には打って付けだと思います。


新宿に着き狸パイセンと合流してからゲン担ぎにゴーゴーカレーでカツカレーを食べた。コンビニで水2Lと朝食用のおにぎり2個を買ってバスタ新宿に向かう。バスタ新宿内にもコンビニはあるが小さい店舗でレジ待ちの列が大変なことになっていた。必要物資は周辺のコンビニで調達しておいた方が良い。

土曜日ということもあってか、バスタ新宿ではバスを待つ客が多く待合室の椅子の数では補えないようで、壁に沿い地べたに座ってバスを待つ若者が目立つ。

さわやか信州号は出発してからすぐに消灯となり、途中、談合坂SAと諏訪湖SAで休憩を取った後、新島々駅経由で上高地バスターミナルへ向かうのである。俺も消灯してからすぐに寝た。片側二列のスタンダード車両ではあるがそれほど窮屈には感じなかった。

05:40AM 上高地 着

到着した日の上高地は曇り空でガスも濃い。特に準備も無いのでトイレに寄り06:00AMには出発した。

今回の山行、当初は

  1. 上高地→槍沢ロッヂで一泊
  2. 槍沢ロッヂ→槍ヶ岳→南岳小屋で一泊
  3. 南岳小屋→奥穂高岳→穂高岳山荘で一泊
  4. 穂高岳山荘→涸沢→上高地

のように考えていたのだが、2日目以降の天気が良くないという予報だったので、山行初日の今日を頑張って槍ヶ岳山荘まで登ってしまいそれ以降の予定に余裕を作るよう行程を変更した。

上高地から横尾までは普通の林道でスタスタと軽快に進む。起伏がない道なのでとても歩きやすい。

上高地 06:00AM → 06:28AM 明神 → 07:25AM 徳沢 →

08:15AM 横尾 着

横尾は涸沢への登山道の合流地点となっているので人が多く賑わっていた。

すでに上高地から11km歩いてきているが、距離的にはまだ今日の半分である。横尾から先は本格的な登山道となる。

09:45AM 槍沢ロッヂ 着

横尾から沢に沿って歩くこと約1時間30分、当初宿泊の予定であった槍沢ロッヂに到着した。

ここで少し早い昼飯を食べようという事にしていた。食堂は10時からの営業のようでしばし待機し、ラーメンを注文した(美味い)。

槍沢ロッヂでは槍の穂先を木々の間からチラッと覗くことができる。そのために単眼鏡が用意されているのだが…

ガスがかかったりかからなかったりでよく見えない!穂先とのご対面は暫しお預けとなった。

槍沢ロッヂから槍ヶ岳まではコースタイム4時間30分といったところである。岩稜帯がメインのコースで沢沿いに登っていくのだが穂先に近くにつれて傾斜も上がりなかなかにタフなコースである。ハシゴや鎖場は無いからそれほど危険では無いが、思い返せばここからの登りがこの旅一番キツかったかもしれない。

上高地で覆っていたガスもすっかり晴れ、正午に近づくにつれ気温が上がる。雪渓から時たま吹き下す冷風が気持ち良い。

細かいつづら折りのキツイ登りを登っているとようやく右手に槍の穂先を確認!

あの麓にあの有名な槍ヶ岳山荘があるのかぁ…なんて思っても、この穂先が見えてからがまぁ長い!おまけに細かく切り返しながら登っていくのでとても辛い。

ようやく殺生ヒュッテとの分岐まできたがまだまだ!山荘は目の前なのに中々距離が詰まらずもどかしい。

半歩ずつ歩を進めることしばし…

14:34PM 槍ヶ岳山荘 着

ようやく着いた。ほぼコースタイム通りの4時間20分。

一泊二食付きのプランで受付をし(朝食はお弁当にしてもらった)、部屋に入った。二段ベッドの大部屋だ。俺らは二段ベッドの上段右端で登るためのハシゴが足裏に食い込んで痛い。槍ヶ岳は人気の山なので山荘内は若者のグループからツアーのおじさまおばさままで大量の人で溢れかえっていた。

とりあえず外に出て(しかしかなり寒い)、槍の穂先を眺めながらビール(¥500/缶)にする。

高度のせいか疲れのせいか、いつもより酔いが早い。

穂先への登頂は明日の早朝と決め、晩飯にハンバーグを食べて20:30PMの消灯前に布団に入った。しかし寝られない。他の客はまだ起きているし、おまけに鼻づまりが酷い。一瞬『あぁもう帰りたい…』なんて思ってしまったが消灯して暗くなると気づいたら寝てた。

明日は4時起床でいよいよ穂先へのアタック開始である!

続く

Comments

“【北アルプス】槍・穂高縦走登山” への2件のフィードバック

  1. たぬきのアバター
    たぬき

    なんか,感動して泣いちゃいそうだよね(笑)

  2. よーへいのアバター
    よーへい

    俺が槍ヶ岳山荘に着いて感極まって号泣したってことは内緒ですからね!笑

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