私の愛車はSKYACTIV-D2.2搭載のマツダ・アクセラです。1.5トンの車重に420Nmのトルクが強烈でもう最高!
なんですが、最近は主に通勤での移動に使う事が多くなってしまって、街中だけの移動ではそんな鬼トルクでウホウホ出来ずトホホな日々を過ごしております…(春になったらドライブに行くぞ〜!)
しかしそんなご機嫌なはずのSKYACTIV-D2.2にも避けては通れない”アレ”。皆さんご存知の”アレ”がございます…
SKYACTIV-Dはクセがすんごい!(煤的に)
アレですよアレ!
ご存知の通りマツダのディーゼルエンジンは短距離使用を頻発すると、煤による不具合が起こる可能性があると知られています(アレとはコレです)。なので私のアクセラも他人事じゃあございやせん!
不具合ってのは主に、SKYACTIV-DではEGR(排気を吸気に戻して再燃焼させる仕組み)によって特に吸気側への煤の堆積が多くて、これによって最悪の場合エンジンの回転が止まってしまう(エンスト)、ということを指します。
これの予防としてはエンジンが暖まっていないうちはアクセルは踏まない!暖まったら景気よくエンジンを回す!で良いんだと思います。そのために「水温を確認したい!」ってことでそれの確認方法を先日別記事でUPしました。
そんなクセがすんごいSKYACTIV-Dエンジンのご機嫌を伺うにはどうしたら良いのか…と、調べていたら、DPFの再生状態を確かめると間接的にエンジンの状態が分かる、という意見を発見しました!
そもそもDPFってなんですのん?
DPFとは
Diesel Particulate Filter(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の略。ディーゼルエンジンにおいて燃焼時に発生したPM(煤など)を大気中に放出しないように溜め込むためのフィルター。
とのことです。
このフィルターに溜まった煤を排気熱で燃やして処理することをDPF再生と言います。これ自体はマツダ以外のメーカーのディーゼルエンジンでも行われていることですが、煤の他に有害なNOx(窒素酸化物)の処理に違いが現れます。
NOx処理の違いを見る前にNOxと煤、両者の関係を見てみましょう。
NOxと煤の関係
燃料を高圧縮で燃やすと煤は少なくなるが、その代わりNOxが多く発生してしまう。その逆もまた然りであるので、両者はトレードオフの関係にあると言うことが出来る
ふむふむ、なるほど。
SKYACTIV-Dが画期的と言われたワケ
SKYACTIV-Dエンジンは他のメーカーよりも低い圧縮率で燃料を燃焼させることに成功したエンジンで、これによりNOx排出量を減らしています。しかしそのために他メーカーのエンジンより煤の発生が多いのです。
他のメーカーではディーゼルエンジン特有の高圧縮で燃焼を行い、発生したNOxは尿素SCRシステム(NOxをアンモニアで中和する仕組み)で浄化し、排気ガスをキレイにしています。SKYACTIV-Dはこの尿素SCRシステムを余計に組み込まずに排出ガス規制に対応したものとして画期的なものであったのですが…
いかんせん煤問題が付きまとうのよね~!
しかしまぁ買っちゃったもんは仕方ない。上手な付き合い方を考えなければなりません。
DPF再生をモニタリングしたら良いのか!
EGRによって吸気側への煤の堆積が多いとされるSKYACTIV-Dの煤の堆積量は、前述の通りDPF再生の状態を把握すればある程度予測がつく、ということですが
エンジン内部に煤が堆積して吸気が十分に行われなくなると燃焼状態が悪くなり、燃費が落ちる・パワーが落ちるといった現象の他に、DPFに溜まった煤を消化できないことにより
- DPF再生の間隔が短くなる
- 一回のDPF再生に時間がかかる
ということが起こることから、つまりこの2つを把握できればエンジンのご機嫌を伺うことが出来て、運転の仕方の参考にもなる、ってことですね!
でも普通に走っていてDPF再生の状態を把握するのって難しくない?汗
OBD2スキャンツール「ELM327」とAndroidアプリ「Torque Pro」でDPF再生をモニタリングできるぞ!
OBD2とスキャンツール「ELM327」について
そもそもOBD2というのは車に関する色んな情報を把握しているシステムのことで(水温・油温・電圧その他色々)、このOBD2の情報を人の目で見て確認出来るようにするツールをスキャンツールと言います。
OBD2コネクタは現在であればほとんどの車に備わっていて、このコネクタにスキャンツールを差し込んで使用する形になります。スキャンツールについてはAmazonで色んな種類が売られているので一つゲットしておきましょう。
ちなみに私はこのELM327というスキャンツールを買ってみました。スキャンした情報をBluetooth経由でスマホアプリで表示、というものです。
ですがこれ電源ON/OFFできなくて且つ常時電源(エンジンを切った状態でも給電される)なので、車に乗らない時も付けっぱなしにしちゃうと車のバッテリーが上がってしまうので要注意です。
電源ボタン付きのスキャンツールというのもあります。
アマゾンレビューも上々だしこちらでも良いかもしれませんね。
ELM327のアクセラへの取り付けについては先日UPしたコチラの記事を参照してください!(ただコネクタにはめるだけだけどね)
Androidアプリ「Torque Pro」について
OBD2からスキャンした情報からDPF再生の状態(再生の間隔、再生完了までの時間)を把握するには「Torque Pro」というAndroidアプリが便利です。
Torque Proは有料アプリ(¥425)で、他に無料版の「Torque Lite」もありますが、DPF関連の情報を取得するには有料版が必要となります。Google Playストアから購入&インストールしちゃいましょう。
Torque Pro (OBD2/Car) ※Google Playストアに飛びます
※Torque Lite、Torque Pro共にAndroid専用アプリなのでiPhoneでは使えません。Android 4.1以上のスマホを用意しましょう
私のTorque Proの場合ですが、こんな感じに設定して使ってます。
(左上から下に)DPF再生の作動状態、前回のDPF再生からの距離、現在までのDPF再生の回数、煤の生成量、煤の堆積量、水温、燃料噴射量、アクセル開度、スマホのバッテリー残量、油温、電圧、です。
Torque Proの設定をしてみよう
それでは上図を例に設定してみましょう。DPF関連の設定は複雑な計算式を設定しなければならないので、みんカラのSteven_XDさんの記事を参考にしました。ありがたや~。
スマホとELM327の接続
- ELM327をOBD2コネクタに挿す
- スマホでBluetoothデバイスの検索を行う
- 利用可能な機器の一覧に「OBD2」が現れるのでペアリングする
- コードの入力を求められたら「1234」と入力しOKする
- ELM327とスマホの接続が完了
Torque ProにてELM327を使用する設定
- Torque Proを起動
- 画面左下の歯車アイコンをタップして設定を開く
- OBD2アダプタ設定を開き、Bluetoothデバイスの選択を開く
- デバイス一覧が表示されたらOBD2にチェックを入れる
- 完了
車両プロファイルを作成
ここで作るプロファイルを何に使うかはよく分からないのですが、几帳面な私なのでとりあえず作成しました。
- Torque Proを起動
- 画面左下の歯車アイコンをタップして車両プロフィールを開く
- 新しいプロファイルを作成をタップ
- それぞれの項目に車の情報を入力(下の図を参照)
縦長スクショを横に3つ並べてます。Fuel Costのところは燃料のリッターあたりの価格を入力するようです。てか0.26ってなんだよ…
拡張PIDの作成
DPF関連の情報取得する機能はTorque Proには標準で備わっていないため、自前で用意してやる必要があります。
- Torque Proを起動
- 画面左下の歯車アイコンをタップして設定を開く
- 拡張PID / センサ管理を開く
ここにDPF関連の機能を追加していきます(下図は追加後の画面)
画面右上の丸3つをタップしてカスタムPIDを追加を開きます。あとは下記5つの項目を入力しては保存…を繰り返します。
煤の堆積量
DPF内の煤の堆積量を取得します。
- PID:22042c
- Long name:DPF PM Accumulation
- Short name:PM Accum
- Minimum value:0.0
- Maximum value:10.0
- Unit type:g/L
- Equation:(A*256+B)*100/65536
煤の生成量
前回DPFから生成された煤の量を取得します。この値が6になるとDPF再生が始まります。DPF再生中は数値が6から減っていき、0でDPF再生終了になります。
- PID:22042d
- Long name:DPF PM Generation
- Short name:PM Gene
- Minimum value:0.0
- Maximum value:10.0
- Unit type:g/L
- Equation:(A*256+B)*100/65536
DPF再生回数
今までのDPF再生回数を取得します。
- PID:220432
- Long name:DPF Regeneration Count
- Short name:DPF CNT
- Minimum value:0.0
- Maximum value:0.0
- Unit type:なし
- Equation:A*256+B
前回DPF再生からの距離
これはそのまんまですね。
- PID:220434
- Long name:DPF Regeneration Distance
- Short name:DPF Dist
- Minimum value:0.0
- Maximum value:350.0
- Unit type:km
- Equation:((B<16)+(C<8)+D)/640
DPF再生作動状態
DPF再生が始まると1になります。
- PID:220380
- Long name:DPF Regeneration Status
- Short name:DPF ST
- Minimum value:0.0
- Maximum value:1.0
- Unit type:なし
- Equation:{A:1}
メーターを配置する
PIDを追加するという大変な作業が終わりましたら、Torque ProのRealtime Informationにメーターを追加していきましょう。
空いている画面上でロングタップし画面を追加を選択。表示するメーターの種類が選べるのでお好きなものを選びましょう。私の場合は
- DPF ST:デジタル表示
- DPF Dist:デジタル表示
- DPF CNT:デジタル表示
- PM Gene:ダイアル(メータ)
- PM Accum:ダイアル(メータ)
- 水温:ダイアル(メータ)
- 燃料噴射量:ハーフダイアル(ニードル)
- アクセル開度:グラフ
- スマホのバッテリー残量:デジタル表示
- 油温:デジタル表示
- 電圧:デジタル表示
という感じです!
DPF STとDPF CNTに関してはデジタル表示で設置したままだと小数点以下が表示されてしまうので
- それぞれをロングタップ
- Display configuration…を選択
- Number of decimal placesを選択
- Use display defaultのチェックを外す
- チェックボックスの上あたりをタップして数字の0を入力しOK
以上をすることで小数点以下を表示させなくすることができます。
実際に使ってみてどうよ?
ほぼ毎日の車通勤の中でほぼ毎日ELM327とTorque Proを使ってます。ELM327も毎度毎度外して付けて…を繰り返してますが、そんなに手間じゃないと感じます。なんせコネクタにスッと挿すだけですからね。
インパネの水温ランプは毎回Torque Proの水温計が40度のところで消えるし、DPF再生もPM Geneが6までいったら作動、0で終了をきっちりこなしてる感じです。ということでTorque Proの数値は結構正確のようです。
幸い私のアクセラはDPF再生がまだ200kmを超えたところで行われてるので煤の影響は無さそうかな?という感じ。こんなに個性的で面白い車です。今後もTorque ProをにらめっこしながらSKYACTIV-Dを大事に乗っていこうと思います!
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